院試塾ブログ
インターネット大学院予備校代表・畑中泰道のブログ

30 November

研究の「公共性」

 「研究」と「勉強」の違いについて,「研究」が公的な何かを生産することであるのに対して,「勉強」が私的な消費である,ということが言えると思う。
 「勉強」は基本的に,自分のためにするものである。もちろん,動機はいろいろあるだろう。資格(修士号なども含む)がほしいというのもあれば,自分のなかのモヤモヤを解消する,というのもあるだろう。これに対して,「研究」は何らかの公的性質を持つものだと考えられる。研究をするという以上,自分で納得するだけではダメで,その成果は「世に問う」必要があると言ってよい。つまり,研究は何らかの形で「他者」を意識したものでなければならない。この視点なしに「研究」は成立しない。もちろん,研究成果を自分で利用するということはある。しかし,その場合でも,その自分が他者にとって有益であろうとすることは大切だろう。
 研究の意義についても,やはり上の二分法を考え合わせるとよいだろう。大学院入試の研究計画書などを書く場合でもそうだが,おおむね以下のように分けられるように思われる。

 たとえば研究テーマなどを考える際,自分がやろうとしている研究について,上記の5つの意義をそれぞれ考えてみるとよいだろう。それぞれの比率やバランスについて考えるのも有益だと思う。研究者養成系の大学院を志望するのであれば,学問分野にとっての意義を最優先に考える必要がある。社会人対象の大学院の場合には,自分を含む組織にとっての意義が大切ではあるが,あわせて社会にとっての意義も考える必要があるし,可能であれば学問分野にとっての意義も視野に入れる,といった具合にである。
 このように考えて研究テーマを設定し,考えを進めていけば,研究計画書などの説得力もずいぶん増すだろう。
16:15:30 - yhatanaka - 1 comment - TrackBacks

29 November

電子辞書

 電子辞書の使い方をきちんと知っているだろうか。
 電子辞書の普及ぶりはめざましい。高校の課外授業で見ていても,半数以上は電子辞書を使っている。
 英語の他にコンピュータなども教えていて,新しい物好きなぼくだから,電子辞書自体に反対というわけではない。ぼく自身もいくつか持っている。
 電子辞書の最大の問題点は,一覧性が低い点だ。特に外国語の辞書を引くときには,例文を丹念に見ていくことが大切なのだが,少なくともぼくが使っているものについては,例文を表示するキーを押さないかぎり例文が表示されない。自分の使っている電子辞書の例文の出し方を知っているだろうか?
 一方で,電子辞書ならでは,という使い方もある。いわゆる「ジャンプ」機能である。英和・英英の両方が搭載されている電子辞書なら,英和から英英,英英から英和の,同じ見出し語にジャンプすることができる。また,英英の定義に出てきたわからない語を英和で調べたり,英和の訳語として出てきた難しい日本語を調べたりすることもできる。実に便利な機能だ。これを十分使いこなしているのであれば,電子辞書を十分に活用していると言えるだろう。
 ちなみに,ぼくが今,主に使っているのはSIIのSR-T6700だ。英和辞典が『リーダーズ』『リーダーズ・プラス』に加えて『ジーニアス』。それに加えて『新編英和活用大辞典』が入っている。英文を書くときには必要不可欠な辞典だ。英英はCOBUILDの第3版で,何とWordbankもついている。こちらはあまり使わないが,CODまで入っている。和英は研究社の『新和英中辞典』。多くの電子辞書に入っているのは『ジーニアス』の和英だが,『新和英』のほうがよくできているとぼくは思う。国語辞典は電子辞書定番の『広辞苑』だが,小学館の『類語例解辞典』も搭載されていて,ぼくはこちらをよく使っている。もう1つ使っているのがCASIOのXD-H9100で,これはLongmanのActivatorが入っているのにひかれて買ったものだ。
 電子辞書のもう1つの難点は,辞書の改訂版が出ても差し替えのきかないことだ。コンテンツカードで辞書が増やせるタイプのものはだんだん出てきたが,こうなるとカードか何かで中身が差し替えられるものが登場してほしいものである。
21:42:24 - yhatanaka - No comments - TrackBacks

面接

 出講している予備校で,面接対策に参加した。もちろん,面接官役としてである。
 大学入試と大学院入試という違いはあるものの,面接という場に臨むときの緊張感はあまり変わらないのかもしれない。ぼく自身,大学は推薦入試で,大学院入試も何校か受けたから,面接される側の経験もけっこうあるが,そう緊張した記憶はない。むしろ,今回のように面接官役として見ているほうが,受験生の緊張感がひしひしと感じられた。
 大学推薦入試の面接は,いわば「化かし合い」のようなものだ。過去の質問事項や面接の形式は相当程度データとして蓄積されており,それに基づいて相当の準備もしている。面接官役としては,何とかその裏をかいて,準備していないような質問をし,反応を見ようとする。実際にやってみると,ひととおりの質問に対しては準備した答えをすらすらと言うものの,どんなことを勉強するのか,という話になると,けっこうしどろもどろになる受験生が多い。学部・学科の教育内容についても,十分理解していない場合も多い。
 志望動機は対策が行き届いているらしく,はきはきと答える場合がほとんどだ。しかし,さらに突っ込んだ内容を尋ねると,答えられない。また,その志望動機を述べる際に,なぜか多くの受験生が自分の話から始める。去年同じように面接対策をしたときには,医療系の受験生から同じ質問に対してほとんど同じ答えが出てきて,最後になぜか尋ねたら,資料集の模範解答がそうなっていたらしい。自分の話やエピソードから志望動機に入る,という模範解答がどこかにあるのかもしれない。
 院試塾でも大学院入試の口頭試問対策を行っている。想定問題は作成するが,答えは受講生が作るもので,模範解答はない。指導の際にとにかく強調しているのは,きかれたことをきちんと答えること,どこで「はいけっこうです」と言われても,最低限のことは答えられているようにすることである。この2つは結局,1つの答え方に収れんする。結論から入る,という答え方だ。
 面接対策・練習はしたほうがよいか? もちろん,しないよりはしたほうがよいだろう。しかし,当たり前のことだが,それまでの不勉強はごまかせない。結局,日頃から自分を磨き,きちんとした言葉遣いをするという,ごく当たり前のことが大切なのだ。
20:55:21 - yhatanaka - No comments - TrackBacks

22 November

縮小再生産的教育

 「手順をきっちり教えること」をよしとする風潮がある。「学生ウケ」を重視し,「生き残り」を模索する教育機関ではいたしかたのないことに思えるかもしれないが,この先にあるのは縮小再生産でしかない。
 たとえどのように工夫して伝達したとしても,伝達効率は100%にはなりえない。この前提に立つかぎり,きちんと手順を教える教育だけでは,教わった学生や生徒は教師を超えることはできない。しかも,手順をきっちり教え,教えたとおりにできることを教えるだけでは,自分で考える余地を与えない。必要なのは「種を植え」「火をつける」教育だ。考えることを積極的に求め,「頭に汗をかく」習慣をつけさせる教育が必要なのである。
 そのために何が必要か。まず,各教育機関が,自らの本当の目的は何かを突き詰めて考え,その目的を明確に提示したうえで,その目的を果たすために本当に必要な教育を行うことである。そのためには,誤った「顧客第一主義」を排することが必要ではないだろうか。「顧客」である学生・生徒などにとっても,本当はそれがよいにちがいない。その場の満足ではなく,本当の「力」が身につくにはどうすればよいか,自分なりに考えたうえで,どんな教育を受けるかを自分で考える必要がある。
21:20:51 - yhatanaka - No comments - TrackBacks

21 November

本物の英文法

 英文法の勉強について,どんなイメージを持っているだろうか。
 英文法学習の題材として,4択形式を中心とする問題が用いられることが多い。大学入試や英検,TOEICなどの試験対策が中心となるからだろう。しかし,英文法とは本来そういうものではない。英文を構造に沿って読んだり,正確な英文を書くために必要不可欠なものだ。
 たしかに「問題」が解けることも場合によっては必要だろう。しかし,問題を中心に学習しているだけでは,英文法の全体的な「しくみ」は学べない。ただ,問題が問うている項目ごとに「傾向と対策」を学んでいくだけでは,断片的な知識が積み重なっていくだけだ。
 それでは,英文法のしくみを学ぶためには何が必要か。まず,品詞が文構造のなかで果たす機能を正確に理解することだ。具体的には,品詞と文の要素(主語,述語動詞,目的語,補語,修飾語)との対応関係を理解すればよい。この理解はきわめて重要だ。不定詞や分詞,動名詞の役割を理解する際,節の機能を理解する際にも基本となるからだ。
 また,構文上重要な位置を占めるのが,5文型のうちの「第5文型」だ。S+V+O+Cという構造を持つ第5文型の文では,これら4つの要素が単純につながっているだけではなく,O+Cが1つの要素をなすという「二重構造」がある。この構造を正確に理解することは,英文を正確に理解するために必要不可欠である。
 とりわけ大切なのは,全体の体系性を常に意識することだ。高校生などに英文法を教えていると気がつくのだが,英文法の用語はかなり知っていても,それがどういう意味であり,なぜそう呼ばれるのか,どのような役割を果たすのかについてはあまり理解していない場合が多い。断片的な知識の集積ではなく,意味を持った概念の体系として,英文法を理解する必要があるのだ。
18:42:25 - yhatanaka - No comments - TrackBacks