院試塾ブログ
インターネット大学院予備校代表・畑中泰道のブログ

21 December

電子辞書の問題点

 フランス語の勉強を「再開」したことは,すでに12月13日の記事でも書いたとおりだが,これにも電子辞書を使ってみて気づいたことがある。使っているのはCASIOのXD-H7200で,『クラウン仏和辞典』の第5版が入っている。
 まず,語法表記などの情報,訳語,例文などの区別がつきにくく,「ざっと目を通す」という作業がやりにくいことだ。紙の辞書も併用しているが,色などが入っていることもあり,電子辞書の画面に比べるとかなり見やすい。また,これはよく指摘されることだが,やはり「一覧性」のなさは問題となりえる。やはり「ざっと見渡す」のが難しいのだ。結局,先頭から1つずつ順にたどっていくといった読み方をしていかざるをえない。
 移動が多いので,紙の辞典をいつも持ち歩くというわけにもいかない。電子辞書はコンパクトで,この点ではよい。しかし,情挙が許せばやはり紙の辞書を使いたいとつくづく感じた。少なくともフランス語の場合,しばらくはこの状態が続きそうだ。
 なぜこうなのか。たぶん,英語の場合には求める情報がはっきりしていて,主に「確認」のために辞書を使っているのに対して,フランス語の場合にはそうではないからではなかろうか。だとすると,まだ英語に十分慣れていない人には,やはり紙の辞書を使ってほしい。少なくとも,電子辞書と併用してほしいものである。
20:30:10 - yhatanaka - 1 comment - TrackBacks

13 December

フランス語の勉強

 大学院以来離れていたフランス語を再び学び始めた。理由の1つは社会学などのフランス語文献を言語で読みたいと思ったからで,もう1つは英語で苦労している人の気持ちがわかるかもしれないと思ったからだ。ちなみに,大学では第二外国語として学び,大学4年,大学院1年とフランス語学の授業に出て文献を読んだりした。大学院入試でも第二外国語でフランス語の試験を受けた。フランス語検定は3級を持っている。
 フランス語やドイツ語の学習環境は,他の外国語よりも恵まれていると言えるだろうが,それでも英語に比べると辞書の種類も少ないし,参考書もそう選べない。もっとも,売れたいためか単なる無知のためか,あやしげな作例までして,関係代名詞の制限・非制限用法の違いなどない,と言い出すおかしな輩が本を書いていない分だけマシといえるかもしれない。
 文献を読むのが目的だし,初級文法までは大学でやったので,院試塾の英語講座受講生に言っているのと同じ形で,辞書と文法書を駆使していきなり本を読むことにした。Claude Lévi-StraussのLa pensée sauvageである。1時間で2ページくらいのペースだが,とりあえずきちんと意味がつながる読み方ができている。辞書も丹念に例文まで引き,不明な点は文法書で調べながら読んでいけば,そうおかしなことにはならないのだとあらためて確認できた。
 ついでに少し基礎的な読解の復習をしようと,南館英孝・石野好一『フランス語を読むために—80のキーポイント』も使うことにした。この本に面白いことが書いてあるので,紹介したいと思う。
 「自動車がフランスの家事でさえあれば善の先頭に来る」という訳が紹介されている。学習者の書いたものであろう。こういうのを「意味不明」と言う。英語の講座でもこうした訳を平気で書く受講生がいる。「読んでいない」としか言いようがない。この訳について,著者はこう言っている。

 あたりまえであるが,文を読むのはそこに何が書いてあるかを知るためである。ところが往々にして上のような訳に出合う。日本語らしきものに直した本人はおそらく原文の意味がまったくわかっていないのである。何を言っているのか皆目わからない言葉の羅列である。(中略)何が欠けていたのであろうか。語彙力の不足,文法の知識のなさであろうか。それも当然原因であろうが,それより重大なのは,原文で何を言おうとしているのかを「理解」しようとする意識の欠如である。上の文は辞書を引いて見つけた意味や,あるいは従来知っていた単語や表現の意味を勝手に並べたてただけのものである。我々はここで,いわずもがなのことではあるが,テクストを前にして我々が行なうのは,「言語化されたものを通して,それを書いた時に作者が頭の中に何を思い描いていたかをたどる作業」なのだということを確認しておきたい。(p.9)

 まったくもってその通りである。英語についてもまったく同じことが言える。実際,この著者も「実は文章の解釈の仕方それ自体は何語に関しても同じである。日本語の文を読む時もこれまで見てきたことはそれぞれ適用できるものである」(p.32)と述べている。前にも書いたが,「読めない人」は「できない人」なのだろう。
 となると,フランス語をやったからといって,ぼくがこうした「読めない人」の気持ちがわかるかどうかいささかあやしくなってくる。少なくともぼくなら,上のような訳を書いて提出する前に,もっと辞書を引き,もっと文法書を調べ,必要とあれば仏仏辞典も引いて,少なくとも「わかる」日本語を書くだろう。意味不明な日本語を書いて直してもらうのは,受講料を払ったから当然だと思う人もいるかもしれない。しかし,そういう了見では,どこまで行っても外国語の読解力など身につかないだろう。
21:03:17 - yhatanaka - 2 comments - TrackBacks

07 December

笠島準一『英語辞典を使いこなす』講談社学術文庫

 この本の底本である『英語の辞書を使いこなす』(講談社現代新書)は1986年に出版され,高校生の頃に読んだ。もう一度読みたいと思っていたが,どこかに紛れてしまっていた。今回偶然書店で見つけることができ,読み返してみたのだが,きわめて有益な本であるとあらためて感じた。
 「英語に関する疑問の90%は辞典の中に答えがある」という基本的な主張を,まずはしっかり受け止めておきたい。院試塾の指導でもつねづね受講生に言っていることだが,辞書をきちんと引くことは語学学習の基本であり,それを怠ってはならない。しかし,多くの人の辞書に対する考え方は,おそらく以下の引用に集約されるのではなかろうか。

 辞書なんてアクビが出る。ABC順に並んでいるからたどっていけば引けるし,また最初か次の訳をもらって原文にあてがっていけばそれでおしまい。辞書を使いこなすって?—そんなことできるわけないさ。
 いやいや,そんなことはない。あなたの机の上でホコリをかぶっている辞書,最初の訳がみつかったら閉じられてしまう辞書,そんな辞書を使いこなし,英語力をアップさせ,英語文化も知るコツがある。(p. 3)

 本当にこのとおりである。特に,「最初の訳がみつかったら閉じられてしまう辞書」というのが多くの人の辞書の使い方をうまく言い当てている。実際に辞書を引くところを予備校の授業などで見ていても,閉じなくてもよさそうなものなのになぜかすぐに閉じる。一刻も早く,辞書を引くという「作業」から解放されたい,ということなのだろうか。
 辞書は意味を調べるだけのものではない。その言葉に関する情報の宝庫である。この本でとりあげられているのは英和・和英・英英という,英語学習にとって基本的な辞典類で,この本の説明に従って徹底活用したならば,英語力が大きく向上することは間違いないと言ってよいだろう。
 特に有益なのが,英和辞典について「詰まった情報を徹底的に活用する」ことを提唱している部分だ。とりわけ,「用例から適訳をみつける」方法の記述(pp. 102-3)は,少し難しいがぜひ読んでみてほしい。用例を詳細に検討し,その訳語から意味をつかんで応用すれば,英文の意味がずっと明確にわかるようになる。
 もちろん,この本は読んで納得するだけではダメだ。ここに書いてある方法を1つでも多く実践することが,語学力向上のカギとなる。英語がきちんと読み書きできるようになりたい人の必読書と言えるだろう。
16:14:35 - yhatanaka - No comments - TrackBacks