院試塾ブログ
インターネット大学院予備校代表・畑中泰道のブログ

18 July

構文の概念を図解する—A is all about B

 5月1日の記事「語を概念で理解する—pathの場合」では,語の基本概念を図解して理解する方法について述べた。この記事では,『院試塾の現場から』の7月14日の記事でとりあげたA is all about Bを図解してみよう。
 aboutの基本的意味はaroundと似ていて,「〜の周りに」である。A is all about Bをこれにそって理解しようとすると,おおむね以下のように図解できる。『ジーニアス英和辞典』の例文Winning is what baseball is all about.を簡単にほどいて,Baseball is all about winning.としたうえで図解してみよう(なお,allは強調なので,図解には登場しない)。

シンプルそのものである。baseballがwinningを取り巻く形にすればよい。ここから「勝つことが野球にとって何より大切なことだ」という意味がどうやって出てくるか。図をよく見てほしい。baseballを表す円の中心にwinningがある。言うまでもなく,中心はいちばん大切なところだ。ここから,baseballの中心(=本質)はwinningだ,という解釈がえられる。
21:48:24 - yhatanaka - No comments - TrackBacks

McUniversityに抗うことは可能か?

 「マクドナルド化」という社会学の概念がある。英語で言うとMcDonaldization。言うまでもなく,ハンバーガーショップチェーンのマクドナルドに由来するもので,George Ritzerという社会学者が提唱している。ぼくもこの概念を用いて,知人である歯科医師と歯科医療のマクドナルド化について簡単に論じる文章を書いた。
 マクドナルド化とはその名の通り,マクドナルドの特徴が社会の他の分野にも浸透していくことだ。この特徴は主に4点にまとめることができる。効率性,計算可能性,予測可能性,制御がその4点である。詳しくはGeorge Ritzer (2004) The McDonaldization of Society. Pine Forge Pressをご覧いただきたい。
 このRitzerが,2002年12月20日のTimes Higher Education Supplementに“Drive-thru education serves McNuggets of information”というインタビュー記事に登場している。書き出しはThe audit system is turning UK higher education into a vast shopping mallとなっている。audit systemとは今はやりの「外部評価」である。大学改革の目玉として日本でも導入されているこの外部評価だが,Ritzerに言わせれば,これによって大学の消費化がいっそう進行することにつながるのだ。シラバスを契約文書と見るのも一般化しつつあるが,これも問題だとRitzerは言う。その他の点でも,「客観的な外部評価」と,その結果に基づいて予算配分を行うという,まさに日本の大学,とくに法人化した国立大学が最近経験しつつある変化に,負の側面が多くあるというのがRitzerの主張だ。
 もちろん,イギリスの大学と日本の大学ではいろいろ事情が異なる部分もあるだろう。しかし,Ritzerのこうした発言が,外部評価を無批判によいものとする風潮に対する警鐘であることはたしかだ。
 非常勤講師として国立大学の教育のお手伝いをしている人間から見ると,今の大学には明確な「理念」が欠けているように思える。安易に学生を「顧客」と見なす風潮があるが,いったい大学は何のために存在するのか,その存在意義を果たすために,大学はどのような教育をし,どのような学生を社会に送り出すべきなのか,真剣に考え議論する必要があるのではないか。もちろん,内輪だけの「ぬるま湯」に浸かっていることは許されないだろう。しかし,大学には大学の価値観があってよいはずだし,その場限りの「満足感」を最重要視する教育が実りあるものになるとは思えない。教育の社会的意義を十分に考える必要があるのではないだろうか。Ritzerの主張はこの点でfood for thoughtとなりえると思う。
19:52:46 - yhatanaka - 1 comment - TrackBacks