院試塾ブログ
インターネット大学院予備校代表・畑中泰道のブログ

20 March

英文から表現を学ぶ—「臨床医」を英語で何と言うか

 臨床医と研究医,という区別がある。和英辞典,たとえば『新和英大辞典』で「臨床医」を引くとclinician / therapistとある(「研究医」は載っていないようだ)。たしかにこれでもよいだろうが,特に「研究医」との区別を明確に表したいときには,もっと適切な表現があるのではないかと思われる。
 そんなことを漠然と考えながら,「英語で読むメディカル・エッセイ」で紹介した,NulandのHow We Die: Reflections on Life's Final Chapterを読み返していたら,ちょうどよいと思われる表現に出会った。

Those laboratory doctors who are convinced that medicine is a science have accomplished so much that those bedside doctors who know it is an art can often, by careful timing and skillful choice of what is now available to them, provide victims of heart disease with long periods of improvement and stable health. (p.19)

研究医をlaboratory doctor,臨床医をbedside doctorと言うらしい。実にわかりやすい表現だ。もちろん,高度に学問的な文脈で使えるかどうかはさらに検証が必要だが,一般的にはこれで問題ないのではなかろうか。
 臨床医をclinicianと言っている箇所もあった。

No matter the sincerity of his efforts, the average specialist physician does what he does because he is absorbed by the riddle of disease and longs to conquer it by solving each puzzlement it represents to his inquisitive mind, whether he is a researcher or a clinician. (p.72)

clinicianと対比して用いる場合には,研究医をresearcherと言えば事足りることもわかった。
 laboratory / bedsideがdoctor以外の語と結びついて対比を表している例もある。

In that long-ago when laboratory science was barely beginning its long partnership with bedside medicine, ... (p.134)

bedside medicineは「臨床医学」と訳すことができるだろう。laboratory scienceは「基礎研究」といったところか。文脈から考えて「基礎医学」とは訳せないだろう。
 こういった例も関連して検討しておくとよいだろう。これも「基礎研究」「臨床医学」とそれぞれ訳せる(このlaboratoryは場合によっては「基礎医学」と訳してもよいだろう)。

Not only in the laboratory but in the realm of treatment as well, ... (p.175)

 生の英文から学べることは多い。本当の英語力をつけたいと真剣に望んでいるなら,まずはこうした文章をすらすらと読めるところに到達しなければならない。
21:10:14 - yhatanaka - No comments - TrackBacks

07 March

英語で読むメディカル・エッセイ

 ぼくの英文読解力の基盤が,大学・大学院時代に言語学を学んだ結果であることは疑う余地はないが,それだけでは現在院試塾の英語講座でカバーしている広い領域をまかなうことはできなかったかもしれない。言語学の文献以外によく読むのがポピュラー・サイエンスとメディカル・エッセイで,これがさまざまな領域の英文読解を指導する基礎になっていると思う。今回は後者をとりあげたいと思う。
 ぼくが読んだ最初の英文メディカル・エッセイは,たぶんOliver SacksのAwakeningsである。この本からは映画『レナードの朝』が生まれているので,知っている人もいるだろう。この本やAn Anthropologist on Mars: Seven Paradoxical TalesThe Man Who Mistook His Wife for a Hat: And Other Clinical Talesのように症例の紹介を中心としたものの他,自身の経験をもとにしたA Leg to Stand onも興味深いし,現地取材にもとづくSeeing VoicesThe Island of the Colorblind and Cycad Islandもおすすめだ。
 次に読むようになったのが,Sherwin Nulandの一連の作品だ。Doctors: The Biography of Medicineは示唆に富む作品だし,How We Die: Reflections on Life's Final Chapterはメディカル・エッセイ入門によいだろう。
 最近読んだのはAtul GawandeのComplications: A Surgeon's Notes on an Imperfect Scienceだ。レジデントとしての体験からさまざまなことに言及しており,まさにメディカル・エッセイの白眉と言える作品だと思う。
 メディカル・エッセイは全体に英文のレベルが高く,語彙も難しい。専門用語も出てくる。しかしだからこそ,「本物」の英文読解力をつけるにはぴったりだ。臆さず挑戦してみてほしい。
19:52:31 - yhatanaka - 1 comment - TrackBacks

05 March

「院試塾仕様」電子辞書?

 英語と日々関わっている今の生活で,電子辞書は欠かせない。2005年6月7日の記事「ついに出た!!−小学館の電子辞書」でもとりあげた,小学館のSG-RH1000をメインに使っている。コンテンツ数は少々貧弱で,英英辞典が入っていないのが最大の弱点だが,CASIOのデータプラスCD-ROMコンテンツをいろいろと追加して使っている。512MBのSDメモリカードを使って現在入れてあるのは以下の通りだ。

 これだけあればぼくがやっているたいていの仕事には対応できるが,これ1台ですべてをまかなっているわけではない。もう1台手放せないのが,SIIのSR-E10000である。最大の理由はCOBUILDが使えることだ。また,COBUILDのもととなっているWordbankも収録されており,簡単なコーパスとして用いることもできる。また,上のリストの百科事典2点をSG-RH1000に入れようと思ったのは,SR-E10000で使ってみてけっこう使えると思ったからだ。
 また,移動中に英語の本を読むときなどには,コンパクトな電子辞書のほうがよい。そうしたニーズに応えてくれるのが,SONYのEBR-S7MSだ。これにはネックストラップをつけて使っている。画面が小さく表示も遅いといった不満もあるが,コンパクト・ボディでジーニアス英和大辞典やリーダーズ+プラスを中心とするフルコンテンツが利用できるのはありがたい。
22:39:36 - yhatanaka - No comments - TrackBacks

「攻め」の研究と「待ち」の研究—研究計画書と興味・関心

 ある対象に本当に興味を持ったとき,どのような行動をとるだろう。はたして,他人から知識や情報が与えられるまで待っているものだろうか。それは本当に興味があるとは言えないのではないだろうか。
 研究計画を立てる場合にも同じことが言えるのではないか。本当に興味があるなら,自分でできる範囲のことは相当程度やっているのがふつうだ。たとえそれが「勉強」のレベルでしかなく「研究」にまでは到達していないとしても,かなりの程度まで自分で勉強するのではないだろうか。
 ところが残念ながら,実際には「大学院に入ってから…」と考えている人が多い。「攻め」の姿勢に対する「待ち」の姿勢と言ってよい。本当に興味があって,自分の研究だという意識があるなら,この状態にとどまっているのはおかしい。
 ぼくならこう考える。興味があると言いながらそれについて勉強していないのは:

  1. 実はそれほど興味があるわけではない

  2. 大学院に入って「教わろう」と思っている

  3. ある程度の勉強すら自分でする能力がない


のいずれかであろう。いずれにしても,大学院での研究生活には向かない。はっきり言ってしまえば,学部生でももっと高い意識で学んでいる学生がたくさんいる。
 「攻め」の研究を!!
20:13:05 - yhatanaka - No comments - TrackBacks