院試塾ブログ
インターネット大学院予備校代表・畑中泰道のブログ

21 April

-ly副詞の解釈—派生語をほどく

 高度な英文読解を行う際に問題になりがちなのが,-lyで終わる副詞の解釈である。しかし,出発点となるのは派生語をほどくことだ。それに加え,語法知識を適切に運用することが重要となる。例で考えてみよう。

In the years between the beginning and the middle of the 1990s, New York City did not get a population transplant. Nobody went out into the streets and [1]successfully taught every would-be delinquent the distinction between right and wrong. There were just as many [2]psychologically damaged people, [3]criminally inclined people, living in the city at the peak of the crime wave as in the trough. (Malcolm Gladwell (2002) The Tipping Point: How Little Things Can Make a Big difference. pp. 138-9)

 まずは[1]から検討してみよう。successfullyはsucceed→success→successful→successfullyという過程をへて派生される。これを逆にたどってsuccessfullyを名詞successないしは動詞succeedまでほどき,taughtとの関係を考えてみればよい。少し大胆に考えるなら,succeed in teachingとほぼ同じように読み取ればよいのである。
 続いて[2]を見よう。damagedについて「どんなふうに?」「どこを?」という疑問が当然わくはずで,この疑問に答えるのがpsychologicallyという副詞である。psychologicallyはpsychologyの副詞形であると同時にmindに対応する副詞でもあるから,上記の疑問に「心が」「精神が」という答えを与えているととらえることができるのだ。
 [3]は語法知識との関連で考えるとよい。inclinedは前置詞toと結びついて「〜に向かう傾向がある」という意味になるから,criminallyをもとの名詞crimeにほどいて,inclined to crimeと考えればわかる。
 きちんと読むためには頭を使わないとダメだ。
23:56:24 - yhatanaka - No comments - TrackBacks

03 April

研究計画書が書けないのはなぜ?

 研究計画書の作成で苦しむ人は多い。院試塾の「研究計画書作成指導」でも,特に最初の段階で書けずに悩む受講生が多い。
 それまで書けなかった人が書けるようになるきっかけは何か。本当の意味で「学問に目覚める」ことだとぼくは考えている。大学院入試を志すのだから,すでに学問に目覚めている,と思うかもしれない。しかしそうではない。このブログでも紹介した,刈谷剛彦『知的複眼思考法』のことばを借りるなら,「正解探し」の発想を続けるかぎり,きちんとした研究計画書は書けない。これまでの試験と同様,研究計画書にも何らかの「対策」があり,最低限の基準をクリアするための「マニュアル」があると信じている人には,大学院できちんと通用する研究計画を立案することはできないのだ。
 本来学問とは,自分で問いを立て,先人の知見を利用しながら自分で答えを出そうとする営みだ。最近では,学部段階までは問いを与えてもらえることが多い。だから,学部で中途半端に優秀だった人がかえって苦労する場合もある。
 問いを与えられることからまずは脱却しなければならない。もちろん,答えを教えてもらおうとか,答えにいたるプロセスを逐一示してもらおうなどと考えてはいけない。大学院では「自分で学問のできる人」が求められているのだ。
 自分で問いを立てるために必要なことは何か。自分の素朴な疑問にまずは敏感になろう。この素朴な疑問を,少しずつ具体化していく。必要に応じて文献を読みながら,自分の疑問に先人たちはどんな答えを出してきたか,その答えに自分は納得できるか,納得できないとすれば自分はどんな答えを期待しているか,といったところを考えていく。自分なりの答えを出すために,どんな学問分野で研究するのがよいか,どんな理論を用いるのがよいかを考えてみる。もちろん,学部までで学んだ内容も適宜参考にしてよいが,場合によってはそこからいったん離れることも必要になるかもしれない。
 この営みをごく簡単にまとめるなら,自分なりにギリギリまで努力する,ということになるだろう。ここから先は大学院という本格的研究の場で,教員の助言を得ながらでなければ進められない,というところまで到達しているのが理想だ。
 とにかく,学問と相当真剣に向き合い格闘した経験(もちろん大学院での研究に比べれば「幼稚」ではあるわけだが)に裏打ちされなければ,研究計画書は書けない。院試塾の「研究計画書作成指導」は,対話を通じてこのプロセスを支援し,一人で迷子になりそうなときに「こっちへ行ってみればよいのでは?」と助言するものだ。この指導を通じて学問と格闘した人たちの声(院試塾合格者コメント)にも耳を傾けてみてほしい。
00:00:49 - yhatanaka - No comments - TrackBacks

02 April

英和活用大辞典の活用法—読解に活かす

 研究社の『新編英和活用大辞典』は英作文に役立つ辞典だ。語と語の典型的な結びつき,つまりコロケーションを用例で示してくれる。たとえば,investigationという名詞に前置詞を続けて「〜の調査」といった意味を表したいと考えたときに,この辞典を見ればas to / concerning / into / of / on / regardingなどが使えることがわかる。
 この辞典は英語重視モデルの電子辞書にはほぼ収録されているが,あまり活用していないという人も多いかもしれない。しかし,実は読解にも十分活用できるのだ。
 例で考えてみよう。

Capitalism is healthiest when people believe that the long-term benefits of fair dealing outweigh the short-term benefits of sharp dealing (James Surowiecki (2004) The Wisdom of Crowds. p.126)

このsharp dealingのsharpの意味をどのように調べればよいだろうか。普通なら英和辞典を引くだろう。『ジーニアス英和辞典』でsharpを引くと,形容詞には14の語義が挙がっており,11aの「抜け目のない,ずる賢い」がここでの意味だろうとおおむね判断できるが,確信は持てないかもしれない。こんなとき,『英和活用大辞典』を引いてみるとよい。dealingを引いて【形容詞・名詞+】(dealingの前につく形容詞・名詞,という意味)の項を見ると,「sharp [shrewd] dealings」で「利口な[抜け目のない]取引[やり口]」という意味だとわかる。ここではfair dealingと対比されているから,sharp dealingがあまりよい意味ではないことも判断できる。
 あなたの電子辞書の眠っている(かもしれない)コンテンツをぜひ積極活用してほしい。
20:00:47 - yhatanaka - No comments - TrackBacks