院試塾ブログ
インターネット大学院予備校代表・畑中泰道のブログ

28 April

ニンジンの色についてさらに

 「ニンジンは何色か」でニンジンの色が赤かオレンジ色かについて書いたが,その後稲垣栄洋『身近な野菜のなるほど観察記』(草思社)を読んでいて「あっ」と思う記述に出会ったので紹介しておきたい。

 …ニンジンは赤というよりは橙色ではないだろうか。しかしこの昔話は,間違っていない。じつは,昔のニンジンは赤かったのである。ところが明治に入ってから,橙色をした西洋系のニンジンが日本に導入された。そういえば,昔ながらの金時ニンジンは風呂でのぼせたような鮮やかな赤い色をしている。(p.244)

確かにそう言われればそうである。単なる色のcategorizationの違いだけではなさそうだ。もう少し気にしていよう。
20:00:46 - yhatanaka - No comments - TrackBacks

23 April

面ファスナー

 本を読んでいて「面ファスナー」ということばに出会った。この発明のヒントとなったのがいわゆる「ひっつき虫」(オナモミ)であるのはよく知られたエピソードだ。「面ファスナー」というと聞き慣れないと感じるかもしれないが,商品名で言うと「マジックテープ」である。この商品名は株式会社クラレの登録商標なのだそうだ。
 英語ではVelcroという名前で通っている。これもやはり商品名だ。英語でも日本語同様,商品名が一般名化している例がいくつかある。すぐに思いつくのはxeroxとkleenexだろう。前者はコピー機のことで,「コピーする」という動詞として用いることもある。なお,copyは単に写し取ることで,いわゆる「コピー」はphotocopyと表現したほうが安全だ。後者のkleenexはティッシュペーパーのこと。
 日本語の例に戻ると,おそらく商品名だと意識している人が少ないのが「セロテープ」だろう。これはニチバン株式会社の登録商標だ。一般名はセロハンテープなど。愛知県に工場があり,東海道新幹線の車窓(山側)に「なくしてわかるありがたさ 親と健康とセロテープ」という看板が見える。救急絆創膏を「バンドエイド」というのも商品名(ジョンソン・アンド・ジョンソン)。
 おもしろい辞典を1冊紹介しておこう。研究社の『英和商品名辞典』だ。英語の小説やエッセイを読むときに重宝する。たとえば,芝刈り機のメーカーでToroというのがあり,これを半ば一般名として使用するが,この辞典を引けばこうしたことがわかる。『リーダーズ・プラス』(小説やエッセイを読むときにはとても重宝する貴重な辞典である)にもToroは載っていないようだ。
17:11:27 - yhatanaka - No comments - TrackBacks

20 April

知的生産とRHODIAメモ―No.11からNo.16へ

 すぐ前の記事(「ニンジンは何色か」)のはじまりはRHODIA No.11に書いた1枚のメモだ。これはScientific American's Ask the Expertsを読んでいて,引用した該当箇所にPost-Itの透明スリム見出しを貼ってから書いたものだ。メモの内容を以下に示しておく。

ニンジンは何色か?
鈴木孝夫『日本語と外国語』
各英英辞典
cf.信号の色

とりあえず思いついたことをごく簡単にメモした。ぼくはNo.11を通常横長に使っており,上のメモは縦方向に4分の3程度まで書いてある。
 このメモだけでブログの記事を書くことも多いのだが,「RHODIAメモを切り取るタイミング」でも書いたように最近ではNo.16もあわせて使っており,今回はNo.16にある程度展開しておいた。その内容を以下に紹介する。

ニンジンは何色か? cf. 金魚の色(『日本語と外国語』p.15)

 疑問の出発点
  Ask the Experts (p.16)
  ... the pigment that gives carrots their orange color
  LDOCE a long pointed orange vegetable that grows under the ground
  OALD,COBUILDも同様
  広辞苑 根は紡錘形で赤色
  明鏡  黄燈色または紅赤色の根

 信号の色
 (traffic lights)
  LDOCE a set of red, yellow, and green lights that control traffic
  OALD a signal that control the traffic on the road, by means of red, orange and green lights
  COBUILD ... sets of red, amber, and green lights ...

RHODIA No.11→16

 このメモには,直前の記事を書くために調べたことが箇条書きしてある。これにはNo.16の大きさが適していて,このメモも下までいっぱいになっている。
 そして完成したのが直前の記事「ニンジンは何色か」である。展開の筋を順に追ってみてほしい。
 なお,No.16の最後に書いてあるのは,この記事のネタである。実際にNo.11からNo.16に展開した過程を書くとおもしろいかな,という程度の覚え書きだ
10:26:44 - yhatanaka - No comments - TrackBacks

ニンジンは何色か

 ニンジンは何色だろう? 日本人なら「赤」と答える人が多いにちがいない。しかし,英語ではorangeが一般的なのだ。
 このことについて考えるきっかけとなったのは,Scientific American's Ask the Expertsという本を読んでいて,the pigment that gives carrots their orange color (p.16)という箇所に出くわしたことだ。英英辞典を調べてみると,a long pointed orange vegetable that grows under the ground (LDOCE)とあり,他の辞典を引いても同じようにニンジンはorangeとしてある。
 たしかこれに関連した記述があったと思って,鈴木孝夫『日本語と外国語』(岩波新書)を読み直してみたところ,金魚や柿の実のことを日本語では赤とするのに対して英語ではorangeとすることが多い,とたしかにあった。
 国語辞典はどうか。『広辞苑』には「根は紡錘形で赤色」という記述があり,基本的にはやはり赤だ。『明鏡国語辞典』では「黄燈色または紅赤色の根」とあるが,かなり細かい色彩名を採用しており,いわゆる「基本色彩名」とは言いがたい。なお,日本語では「オレンジ色」は基本色彩色とは言えないが,英語ではどうやらそう言ってよさそうだ。たとえば虹の色はred,orange,yellow,green,blue,indigo,violetの7色(ただし,6色とすることもある。これについても『日本語と外国語』を参照のこと)で,orangeが基本的な色の名前として用いられている。
 これに関して思い出したのが信号機の燈火の色だ。日本語の「青」に相当するのが英語ではgreenだ,というのは比較的よく知られた事実だと思うが,「黄」に対応する英語はyellowだけではない。LDOCEはred,yellow,greenの3色としているが,OALDはred,orange,green,COBUILDはred,amber,greenとしている。これについては,実例も含めてさらに検討していく必要があるだろう。
10:09:21 - yhatanaka - No comments - TrackBacks

14 April

RHODIAメモを切り取るタイミング

 前の記事のメモはもちろんRHODIA No.11でとった。暑がりのぼくはもう上着を着なくなっているので,ズボンの後ポケットに入れて持ち歩いている。
 最近,大学の教員をしている友人がRHODIAデビューした。前からぼく以上の「メモ魔」で,本の話などするとすぐにメモをとっていたが,ぼくが使っているRHODIAを見て,手紙堂で購入したそうだ。この間いっしょに飲んだら,いつものように言語学がらみの話になり,RHODIAのやりとりが始まった。その時は英語に関係する話が多かったから(友人の専門は日本語),ぼくから彼のほうに行く枚数のほうが多かったと思う。ぼくの話を聞きながら彼がメモをとることもあった。
 その時に気づいたのだが,彼とぼくとではメモを切り取るタイミングが違う。RHODIAを使っている人ならわかると思うが,このメモの最大の特徴は,簡単に切り取れることである。切り取ることが半ば前提になっているから,レザーカバーには必ずと言ってよいほど,切り取ったものを入れるためのポケットがついている。ぼくは基本的に書いたらすぐに切り取ってこのポケットに入れる。理由はきわめて単純で,次に書くときにめくらなければならないとじゃまくさいからだ。しかし,彼は切り取らずに残しておく。次に書くときにはめくっていって新しいページに書くのである。理由を尋ねたところ,To Doリスト的な使いかたをけっこうしているので,終わったものは切り取って捨て,その時に保存すべきものをポケットに入れているとのこと。これも一理ある使いかただ。どちらか一方だけが正しいというものではないだろう。それぞれがそれぞれのやりかたで,知的生産のスタイルを確立しているようで楽しい。
 RHODIA No.11はこのブロックメモのシリーズではおそらくもっともポピュラーなもので,カバーなどもこれがいちばん種類が多い。もちろん,機動性を考えればこのサイズがいちばんである。しかし,ネタをちょこっとメモするのにはよいが,構想を広げていくときにはスペースが足りない。そこでA6サイズのNo.13もあわせて使っていたのだが,最近これでも足りないことがあって,試しにNo.16(A5サイズ)を買ってみたところ,なかなかいける。しかし,RHODIAはカバーがないとただのレポート用紙と変わらない,というのがぼくの持論で,やはりカバーがないとうまく使いこなせそうにない。ところがサイズが大きいためにやはり値段も高くなる。少し考えていたのだが,結局買うことにした。手紙堂で扱っているものでもよかったのだが,持っている人の少なそうなものを,ということで,馬具メーカーのソメスが作っているVT-20を買うことにした。少々高くついたが,気に入りそうな一品だ。あわせてボールペンを買おうと物色していたら,ウィスキーのオーク樽を使ったものがあったので買ってみた。
 No.11のレザーカバーはすっかりなじんで,少し傷もついて「戦友」のようになっている。No.16のカバーもいつかこうなってほしい。これからが楽しみだ。
20:50:42 - yhatanaka - No comments - TrackBacks