院試塾ブログ
インターネット大学院予備校代表・畑中泰道のブログ

15 February

意味をしっかり考えながら読む―not just one ~ but ...

 英文読解において,既知の構文の知識がかえってじゃまになってしまう場合がある。今回はこのような事例を考察してみよう。まずは以下の引用を見てほしい。

There is not just one misunderstanding in Rose's remarks, but multiple compounded misunderstandings. (Richard Dawkins (1995) The Extended Phenotype: The Long Reach of the Gene. p.10)

 この文を見て,これがnot only A but also B構文のバリエーションであるnot just A but Bであると考える人がおそらくいると思われる。たしかに,Victims want to see justice done not just for themselves, but for the greater good of society ... (COBUILDといった用例もある。しかし,上記引用はこれには該当しない。引用の訳を試みるなら「ローズの発言には1つだけではなく複数の複合する誤解が見られる」といったあたりになるだろう。
 すでにおわかりの人もいると思うが,引用に含まれるのはnot just A but Bという構文ではなく,not A but B構文なのである。justはoneを修飾している。また,oneとmultipleが対比になっている点も考え合わせれば,これがnot A but B構文であることがわかるはずだ。
 同趣旨の例をもう1つ紹介しておこう。

His observations led him to conclude that there is not just one underlying capacity or g, but a variety of intelligences that work in combination. (Edward Smith et.al. (2003) Atkinson and Hilgard's Introduction to Psychology, p.436)

これは院試塾の「心理英語実践講座[応用レベル]」でも課題文としている一節だが,実際にnot just A but Bだと誤解する人が多い。この講座では一度出してもらった答案にコメントをつけて修正してもらうシステムをとっているが,それでも正しい理解にたどりつけない人が多い。それだけ,既知の構文の知識から生じる思い込みから逃れるのはなかなか難しい,ということなのだろう。
22:44:45 - yhatanaka - No comments - TrackBacks