院試塾ブログ
インターネット大学院予備校代表・畑中泰道のブログ

18 May

ドイツ語始めました

 ドイツ語の勉強を始めた。学生時代以来だから,20年近くのブランクがある。
 学部・大学院と第二外国語として学んだのはフランス語。ここ数年は,医療社会学や身体社会学の学習や,『星の王子さま』の関連文献を読むために学んでいる。
 今回,ドイツ語を学ぼうと思い立ったのは,ドイツの筆記用具メーカーLAMYのサイトをドイツ語で読みたくなったからだ。日本に入ってきているのは製品のごく一部で,日本語サイトで紹介されているのもそれらの製品だけ。ドイツ語サイトと同じドメインには英語サイトもあるが,比較してみると英語サイトのほうはかなり簡略化されている。
 ブランクはあるものの,文法の概要は頭に残っている。そこで,復習のために清野智昭『ドイツ語のしくみ』・『中級ドイツ語のしくみ』(白水社)を読んだ。さらに中島悠爾他『必携ドイツ文法総まとめ』(白水社)を適宜参照しながら,辞書と首っ引きで,LAMYのサイトのテキストを抜き出して印刷したものを読んでいる。
 使っている辞書は『クラウン独和辞典』。Canonの電子辞書のコンテンツカードに入っているもの。ドイツ語は語をつなげて複合語を作る傾向が強いので,収録語数の少ないものでもある程度対応できる。しかし,このカードでは例文検索ができない。これはかなり痛い。ということで,CASIOのドイツ語用辞書の最新版を買うことにした。
 辞書を引いても,すぐに忘れる。5行くらい前に引いたのをもう1回引くこともある。それでも,3回くらい同じ語句を引くと,とりあえずその時はいったん覚える。このようにして何とか,A4版3枚分くらいを読んだ。
 拡大コピーに文法のポイントや語句の意味を書き込みながら読み進めていく(もちろん,書き込みに使うのはLAMYの万年筆だ)。意味が通って納得できるまで考える。日本語にきちんと訳すわけではないが,語句の意味と文法構造を把握して,全体の意味が自分の持っている背景知識などときちんとかみ合うまで,とにかく考える。結局,外国語の読解はこれしかないのだと,あらためて思う。
22:24:01 - yhatanaka - No comments - TrackBacks

09 May

形容詞の限定用法と叙述用法―記述英文法の課題

 記述英文法の果たすべき役割は何か。簡単に言うなら,形と意味の関連づけをし,言語現象を記述することである。その点で問題があると思われる概念の例が,形容詞の限定用法と叙述用法の区別ではないかと思う。
 多くの学習英文法書は,限定用法を「名詞を直接修飾する用法」,叙述用法を「動詞の補語になる用法」としている。この区別は,形容詞の意味・用法を説明するためのものであるはずだ。英語の形容詞は,この点から4つに分類することができる。

  1. 限定用法・叙述用法の両方で用いられ,意味の差の見られないもの。例:a beautiful flower / The flower is beautiful.

  2. 限定用法・叙述用法の両方で用いられるが,どちらで用いられるかによって意味の異なるもの。the present economic situation「現在の」/ These vitamins are present in small amounts in a normal diet.「存在している」

  3. 限定用法のみで用いるもの。例:a mere child / *The child is mere.

  4. 叙述用法のみで用いるもの。例:*an asleep baby / The baby is asleep.


 上の例からもわかるとおり,限定用法を名詞を前から修飾する用法と解しているかぎり,問題はない。しかし,名詞を後から修飾する場合を見てみると,混乱が見られるように思う。たとえば,『ロイヤル英文法Rev.』には,以下のような記述が見られる(§118-2-(6))。

(6) 叙述用法に近い場合
a baby asleep(眠っている赤ん坊)
[注]名詞の前後で意味の異なるもの:名詞の前に置かれる場合と後に置かれる場合で意味の異なるものがある。後に置かれるときには叙述用法の場合の意味になる。
all the people present(居合わせた人たちすべて)(=all the people who were present)cf.present members(現会員)

上記に関連して辞書の記述を見ると,たとえば『ジーニアス英和辞典4』ではasleepに[叙述]というラベルをつけ,語法解説で「限定用法ではsleepingを用いる。副詞を伴えば限定的にも用いる」として,a half-asleep child「半ば眠っている子供」という例を挙げているが,a baby asleepという形に関する言及はないし,a child fast asleep on the bedのような形がなぜ許容されるのかも,「限定用法=前からでも後からでも名詞を直接修飾するもの」ととらえているかぎりわからない。『ウィズダム英和辞典2』では,[叙述]といったラベルはなく,be 〜の形で用いるとしたうえで,children asleepという例を挙げ,名詞の前に置かないという点については,『ジーニアス』と同様の解説を加えている。
 これらの辞書の説明が足りない,と言いたいのではない。これは,辞書と文法書の役割分担の問題なのだ。文法書のほうで,名詞の後に置かれる形容詞は叙述用法である,とはっきり言っておくべきなのではないか。そのほうが,形容詞の意味・用法の記述としてより妥当なのだ。限定用法を「名詞を直接修飾する用法」,叙述用法を「動詞の補語になる用法」とするのは,単なる「名づけ」にすぎないのに対して,限定用法を「名詞を前から修飾する用法」,叙述用法を動詞の補語になる用法,および,名詞を後から修飾する用法」としたほうが,形容詞の意味・用法を説明しようとするならばより適切なのである。
 それでは,なぜ名詞を後から修飾する場合,形容詞は叙述用法の意味を持つのか。答えはすでに『ロイヤル英文法Rev.』の上で引用した記述にある。all the people presentはall the people who were presentのwho wereを削除したものなのだ。この操作は関係節の縮約と呼ばれるもので,安井稔『英文法総覧3』やQuirk et. al.A Comprehenstive Grammar of the English Languageでも紹介されている(ただし,限定用法と叙述用法の区別について,ここで述べているほどラディカルな記述ではない)。
15:24:20 - yhatanaka - No comments - TrackBacks

本の読みかた―「タテ」と「ヨコ」

 研究・学習のために本を読むという経験を積めばわかると思うし,誰かがすでに言っているかもしれないが,本の読みかたには「タテ」と「ヨコ」がある。「タテ」に読む,と言うのが一般的な読みかたで,1冊の本を始めから終わりまで順に読み進めること。ある分野の全体像をつかみたいときに,その分野の概説書を1冊通しで読む場合などがこれにあたる。
 ある程度深く学ぶと,特定の分野をさらに深く学びたいと思うようになる。そういう時には「ヨコ」に読むのがよい。これは,複数の本で,同じテーマを扱っている章を拾い出して読むのである。興味が定まっていない段階ではそもそも読むべき章を選び出すことができないし,もし仮にそれができたとしても,前提知識が説明してある章を飛ばして対象となるところだけを読んで理解することは難しい。しかし,その学問領域の全体像がある程度理解でき,前提知識もついてくると,こうした読みかたができるようになり,さらに深く学んでいくためにも有効な手段となる。
 おおよそのイメージを以下に示しておく。
null
09:42:44 - yhatanaka - No comments - TrackBacks

04 May

2種類のhow

 疑問副詞のhowには少なくとも2種類の意味・用法がある。1つは「方法」,もう1つは「程度」である。用法の見わけは比較的単純で,おおむね,単独で用いられていれば方法,段階的な形容詞・副詞(veryで修飾できる,というのが認定基準)を修飾していれば程度である。
 この2つのhowが連続して用いられている以下のような例がある。

How unique are we, and how are we unique? (Michael S. Gazzaniga (2008) Human: The Science behind What Makes Your Brain Unique. p.9)

前半と後半の節を構成する語はまったく同じだが,語順が異なる。前半の節ではHow uniqueとなっており,howがuniqueを修飾している。これは程度を表すから,この節は「人間はどれだけ他の動物と違うのか」という意味になる。一方,後半の節ではhowが単独で用いられているから方法で,この節の解釈は「人間はどのような点で他の動物と違うのか」となる。
 単純なことだが,複合関係副詞のhoweverになると少々手こずる人もいる。院試塾の「英文読解スーパーベーシックゼミ」は英文読解のための文法の最初歩を学ぶ講座で,練習問題としてHowever he did the work, the quality didn't improve.という文を挙げている。思い込みからか,これを「彼がどんなに働いても,質は向上しなかった」と訳す人がけっこういる(初心者だからしかたないのかもしれないが,解説中でもこの違いを説明しており,それを読んでから練習問題に取り組んでいるはずなのだ)。たまたまそのように解釈できてしまうこともあるだろうが,構造を正確にふまえたうえで解釈することが以下に大切であるかがよくわかる。
18:17:23 - yhatanaka - No comments - TrackBacks

02 May

行為者名詞についてさらに

 行為者名詞の解釈についてもう1つ興味深い例に出会ったので紹介しておきたい。

It seems that half of the scientific world sees the human animal as on a continuum with other animals, and others see a sharp break between animals and humans, see two distinct groups. The argument has been raging for years, and it surely won't be settled in the near future. After all, we humans are either lumpers or splitters. We either see the similarities or prefer to note the differences. (Michael S. Gazzaniga (2008) Human: The Science behind What Makes Your Brain Unique. p.7)

lumperは「まとめる」という意味の動詞lumpを,splitterは「分割する」という意味のsplitを,それぞれ行為者名詞としたものだ。「〜人」という言いかたを用いるなら,当該文は「というのも,人間は大きくまとめたがる人か細かく分けたがる人かのどちらかなのだから」と解釈できる。
 類義表現のつながりからも手がかりがえられる。sees the human animal as on a continuum with other animals→lumpers→see the similaritiesというつながりと,see a sharp break between animals and humans / see two distinct groups→splitters→prefer to note the differencesというつながりだ。
 もっとも,それぞれの行為者名詞には,生物学の専門用語としての意味もある。lumperは「併合派分類学者」,splitterは「細分主義者」という意味だ。『ランダムハウス英和大辞典』を見ると,前者には「生物の類似点を重視して大きく分類しようとする生物学者」,後者には「相違点を重視して種や亜種を細かく分けようとする分類学者」という説明がある。人間とその他の動物の区別に関する内容だから,筆者はもちろんこの専門的な意味をふまえて2つの語を使っているのだろうが,主語がwe humansである点も考え合わせると,上で示したように一般的な意味で解釈するのが適切だろう。
22:20:23 - yhatanaka - No comments - TrackBacks