院試塾ブログ
インターネット大学院予備校代表・畑中泰道のブログ

02 November

慣用表現のバリエーション―carrot and stick

 carrot and stickという表現がある。日本語に訳すなら「飴とムチ」だ。ウマなどを前に進める際に,鼻先にニンジンをぶら下げつつムチを打つ,という発想にもとづく表現だ。「硬軟取り混ぜた」をcarrot-and-stickという形容詞で表すこともある。Collins COBUILD Dictionary of Idiomsにも以下の解説がある(ついでながら,ウマではなくロバが代表例として挙がっているところが興味深い)。

The idea behind this expression is that an animal such as a donkey can be encouraged to move forward either by dangling a carrot in front of it or by hitting it with a stick. The carrot represents the tempting offer and the stick represents the threat.

 この表現が興味深いのは,But Congress also wants to use a carrot and stick approach to force both sides to negotiate an end to the war.という典型的な使いかた以外に,いろいろなバリエーションがある点だ。たとえば,Collins COBUILD Dictionary of Idiomsには以下の2例が挙がっている。

最初の例ではsubstitute the carrot for the stickという形になっており,「強硬路線から柔軟路線に転換する」という意味を表している。2番目の例ではwaves a stick / offer a carrotという対比で,やはり強硬路線/柔軟路線を表している。
 Oxford Sentence Dictionaryからもいくつか興味深い例を引いておこう。

最初の例ではcarrots / a stickにbigという形容詞がついている。2つ目の例ではcarrotの内容をcare-packageが,stickの内容をiron bombsが,それぞれ具体的に説明している。3つ目もなかなかおもしろい。天国がthe carrotで地獄がthe stickである,という比喩だ。
 最後に,今回この記事を書くきっかけとなった英文を紹介しておく。

Purveyors of medical services follow the examples of their colleagues in other fields in adding the stick of "limits to growth" to the carrot of ever more desirable vehicles and therapies. (Ivan Illich (1995) Limits to Medicine. p.3)

医療のよい面をcarrot,限界をstickでそれぞれ表現しているわけだ。
16:29:26 - yhatanaka - No comments - TrackBacks