院試塾ブログ
インターネット大学院予備校代表・畑中泰道のブログ

31 March

ruinously expensive―expensiveの連語関係

 ある本を読んでいたら,ruinously expensiveという表現に出会った。「破産してしまうくらい高い」といったところか。早速電子辞書の用例検索で調べてみたところ,何件かヒットした。ruinously costlyというのもあった。
 expensiveと副詞との連語関係で注目すべきはprohibitively expensiveだろう。prohibitivelyは動詞prohibitの副詞形で,元々の意味は「妨げる」だから,「手が出ないほど高い」となる。
 『英和活用大辞典』でexpensiveと副詞の連語関係を調べてみると,このprohibitively expensive以外に,criminally expensive「法外に高い」(なかなかうまい訳だと思う)といったものも見つかった。このような表現をうまく使えれば,生き生きとした達意の英文が書けるようになる。とりあえずは『英和活用大辞典』をよく調べることだ。
18:16:38 - yhatanaka - No comments - TrackBacks

21 March

言い換えから英文を理解する

 英文では言い換えが多く用いられ,これが理解の助けとなることも多い。特に学術英文においては,母語話者にすら難解な内容を扱うために,言い換えによってわかりやすくする工夫がなされることがある。このような例を1つ紹介しよう。

We have found nothing on dozens of worlds so clear and striking as the signs of life found by the Galileo spacecraft in its passages by the Earth. Life is a hypothesis of last resort. You invoke it only when there's no other way to explain what you see. (Carl Sagan (1994) Pale Blue Dot: A Vision of the Human Future in Space. p. 121)

太字にした部分のLife is a last resort.とはどういうことか。last resortは「最後の手段」という意味で,『ジーニアス英和大辞典』ではlastを引くと子見出しとして出てくるし,その他の辞書でもin the last resort / as a (means of) last resortなどの用例が見つかる。生成文法を学んだ者であれば,移動はlast resortである(他のどのような手段でも問題が解決できない場合,最後の手段としてのみ移動変形の適用が認められる)といった言いかたを耳にしたことがあるだろう。
 もちろん,last resortの意味を知っていれば,とりあえず「生命とは最後の手段である」という「訳」には到達できる(もっとも,この文の意味もさらに検討が必要である)。しかし,その直後を見れば,いずれにしてもこの文が「生命が存在すると仮定するのは,他の可能性を全部つぶしてからでなければならない」という意味になることはわかる。このように,言い換えに着目することで,単なる直訳よりも深い理解に到達できるのだ。
 なお,今回初めて知ったのだが,last resortには婉曲表現として「便所」(『リーダーズ英和辞典』)の意味があるそうだ。さすがはリーダーズ,と言いたいところ。
22:18:10 - yhatanaka - No comments - TrackBacks

14 March

フランス語の名詞化

 先の記事「『フランス語名詞化辞典』(大修館書店)」に関連するが,フランス語は実に名詞化を多用する。たとえば次のような文がある(アクサン省略)。

L'attention portee par les sociologues sur le corps n'est pas nouvelle. (Pascal DURET et Peggy ROUSSEL (2005) Le corps et ses sociologies. p.5)

日本語では主述関係を節の形で提示しようとする傾向が強いから,上の文を「社会学者が身体に対して持つ関心は新しいものではない」と解釈するよりも,「社会学者が身体に関心を持つようになったのは最近のことではない」としたほうがすんなり頭に入る。
21:33:16 - yhatanaka - No comments - TrackBacks

『フランス語名詞化辞典』(大修館書店)

 今回の地震の前日,3月11日に,神奈川・川崎の本屋で買い求めた本(ついでに言うと,地震の当日も川崎にいた)。前から気になっていた1冊。
 英語でも名詞化は重要な項目で,院試塾の指導でもとても重視しているが,参考になる本はそう多くない。江川泰一郎『英文法解説』(金子書房)とそれをもとに書かれた,安西徹雄『英文翻訳術』(ちくま学芸文庫)[※『翻訳英文法』(バベル・プレス)と同内容]の2冊が基本図書ということになろうか。また,基本的な考えかたは,英文法を専門的に学んだ者なら誰もが読んだはずのN. Chomsky, Remarks on Nominalizationなどに求めることができる。
 フランス語は英語以上に名詞化を多用する言語だと思う。この本の著者も「フランス語は名詞を重視する言語で,フランスでは伝統的にフランス語教育で名詞化練習をさせてきたし,また今でもそれが行われているようです」と,はしがきで述べている。
 この本は,こうした名詞化の例を,もとの動詞や形容詞とその名詞化形を挙げ,変形[注:専門用語としてではなく,あくまで一般的な意味での]前・後の例文を添えたもの。と言うと単純に聞こえるかもしれないが,これ1冊を通読すれば(「辞典」とは言っても180ページ弱の本で,十分通読は可能だと思う),フランス語の名詞化についてかなり習熟できるのではないだろうか。特に,文の視点の転換や連語関係も見てとれる点がよい。
 英語でもぜひ対応するものがほしい。
21:15:03 - yhatanaka - No comments - TrackBacks