院試塾ブログ
インターネット大学院予備校代表・畑中泰道のブログ

29 November

比較構文の「正体」(続)

 昨日の記事の内容を,さらに同等比較構文に当てはめて考えてみることにしたい。
 He has as many books as I.のような文は,一見簡単なようでいて,実はうまく組み立てられない人が多い。しかし,この文も以下のように考えればすんなり理解できるはずだ。

x=yの場合,接続詞はthanではなくasになる。そして,xを副詞のasに置き換え,[y many]を削除する。後半の節のbooksが削除されるのは,冗長だからだと考えることもできるし,how many booksが1つのかたまりとしてとらえられるのと同じ理由からだと考えることもできるだろう。haveは復元可能なので,省略することもできる。もちろんこれを残して,He has as many books I have.としてもよい。
07:55:25 - yhatanaka - No comments - TrackBacks

28 November

比較構文の「正体」

 学習英文法において「比較」の項目は,比較級・最上級の形式と慣用構文に重点が置かれがちで,基本的な比較構文の扱いは軽いように感じられる。しかし実際には,これをきちんと習得させておくことが重要である。
 まずは簡単な例から見てみよう。He is older than I.は以下のような基本構造を持っていると考えられる。

ここで,x>yであれば,[x old]をolderにし,[y old]を削除してHe is older than I am.がえられる。さらに,復元可能であれば省略ができるという原則にしたがってamを削除すれば,He is older than I.になる,というわけだ。この際,[y old]は必ず削除しなければならない。また,thanは接続詞が基本である。ただし,He is older than me.のように,前置詞としてthanを用いる例も最近では多い。
 She is more pretty than beautiful.のような文でprettyがprettierとならないのは,以下のような構造が基本となっているからだ。

x>yならば[x much]をmoreにし,[y much]は削除される。[x pretty]ではないから,prettierとはならないわけだ。
 さらに,More bacteria are grazing away on the skin than there are people on Earth.(Basher ScienceのBiology, p.24の文を改変)のような一見やや複雑な文も,以下のように考えれば構造の納得がいく。

 なお,この考えかたはぼくのオリジナルではない。以前の生成文法で考えられていたものを簡略化して採用している。
19:13:53 - yhatanaka - No comments - TrackBacks

05 November

joinの受動文と受動構文の意味

 History ChannelのThe Universe: The Complete Series FiveのDVDにあるMars: The New Evidenceというエピソードを見ていて,以下のような文を耳にした。

[T]oday, five probes are taking pictures and measurements of Mars. ... In the spring of 2008, the five probes are joined by a sixth: NASA's Phoenix lander.

 まず,joinの受動形は少なくとも2種類を区別しておく必要がある。以下はいずれもLDOCE5の用例。

  1. The immigrants were soon joined by their wives and children. (joinは「〜に加わる」)

  2. There are really three lakes, joined by narrows. (joinは「〜をつなぐ」)


最初の例は1.と同様のものである。これを直訳して日本語で「加わられる」とするのは違和感の域を通り越してもはや間違いであろう。
 このようなjoinの適切な用例は英和辞典では見つからないが,同様の受動文be followed by 〜はそれなりに見つかる。もちろん,日本語では受動文を使わずに訳してある。『ジーニアス4』から1つ用例を挙げておこう。

followの受動文でも,日本語で「…される」と訳して適切な場合もある。以下のような場合だ。

この2つの文の違いは被害・迷惑の意味があるかどうかに,ある程度は帰することができる。よく指摘されることだが,日本語の受動文は英語のものと比べて,被害・迷惑の意味あいが強い。これに対して,英語の受動文は,情報構造上の必要性から語順の転換を行うのにも用いられる。最初に挙げた例などはまさにそうで,the five probesが先行文脈を受けるものであるために,これを主語の位置に持ってくる目的で受動文が用いられている。このような語順の転換は,日本語の場合はいわゆる「かきまぜ」で行うことができるために,受動態を用いる必要がないのだ。それどころか,これが不適切であることが,「加わられる」という日本語表現のおかしさからうかがえるのではなかろうか。
 少なくとも,英語が受動文だったら日本語でも必ず受動文に訳す(あるいは,その逆)というのは,2つの言語の違いを無視したおかしなことなのである。当てはまらないものを「熟語」として処理する,というのも単なるご都合主義にすぎない。直訳波の人たちは,いったいどう考えているのか。
20:52:28 - yhatanaka - No comments - TrackBacks

02 November

infectの語義―科学用語か,日常語か

 昨日紹介したOxford First / Primary Science Dictionaryについてさらに。infectの語義を見よう。

比較のために,LDOCE5の語義もあわせて挙げる。

  1. to give someone a disease

  2. [usually passive] to make something contain something harmful that gives people a disease


Firstの語義とLDOCE5の1,Primaryの語義とLDOCE5の2とが,それぞれだいたい対応していると見てよい。前者が日常語としての意味,後者がより科学的な用語としての意味と考えることができるだろう。
 なお,Primaryの語義には「病気」の概念が含まれていないように見えるが,germを見ると,Germs are micro-organisms that can infect us and cause disease.という説明があるから,相互参照すれば問題ないようになっている。
 Primaryは理系の高校生にも勧めたい。
23:02:10 - yhatanaka - No comments - TrackBacks

01 November

Oxfordの理科・科学用語辞典

 Oxford University Pressから,学習用の理科・科学用語辞典が,対象年齢別に出ている。対象年齢がいちばん低いのがOxford First Science Dictionary(以下,First。対象年齢5歳以上),続いてOxford Primary Science Dictionary(以下,Primary。対象年齢7歳以上),そしてOxford Study Science Dictionary(以下,Study。対象年齢12歳以上)。
 Firstは約200語収録で,イラストも子ども向け。総ページ数も64ページとかなり薄い。しかし,内容のほうはなかなかで,antibioticやincubateという難しい言葉も出てくる。experimentも載っていて,When you experiment you try something out and see what happens.と,きちんとした説明がなされている。
 Primaryのほうは約600語収録と語数も増え,160ページとずいぶん厚くなる。いらす友也やリアルになる。Studyのほうは見開きで1テーマを扱う形(全130テーマ)となり,索引(Wordfinder)から個々の語を引く形になる。なかなか本格的なもので,大学の授業でも十分使えそうなほどである。
 同じ語をFirstとPrimaryで引き比べてみると,なかなか興味深い。たとえば,batteryの説明は次のようになっている。

Firstのほうはごく簡単な「解説」だが,Primaryのほうは原理などにもふれた説明になっている。
 antibioticの説明はそれぞれ次の通り。

Firstのほうは1文を短くし,簡単な説明だけを与えているのに対して,Primaryのほうは第1文がある程度きちんとした定義文になっていて,関係代名詞も使っている。また,第1文が定義,第2文が説明という,この手の時点で多く用いられる形をふまえている。
 さらにinsulateを見てみよう。

Firstのほうには「保温」のほうだけが乗っているが,Primaryになると「絶縁」も出てくる。電気のほうが見えにくいからかもしれない。ついでながら,どちらも英語ではinsulate / insulationで表す。語源的意味は「島にする」,つまり他と隔絶する,という意味だから,どちらの概念にも当てはまるわけだ。
 extinctの記述も比べておこう。

Primaryのほうが文構造がやや複雑であるのはもちろんだが,Firstのほうはできるかぎり直観的にわかりやすい形になっているように思う。
 Studyのほうは,すでに述べたとおり見開きで1テーマの構成になっていて,大学生の科学英語学習にも十分使えそうである。なかなか読みごたえもある。
 それにしても,First / Primaryとも子ども向けとはいえ,なかなか本格的な英語である。
23:03:09 - yhatanaka - No comments - TrackBacks