院試塾ブログ
インターネット大学院予備校代表・畑中泰道のブログ

15 December

英文読解と文法知識

 ガチガチの構文主義では困るのだが,英文を正確に読むにはやはり文法知識が欠かせない。特に,本格的な英文を読みこなすためには,十分な文法知識を身につけ,目の前の英文に正確に適用することが必要不可欠であることは言うまでもない。以下の例を見てほしい。

These are early signs of social maturity: polite, meaningful concern about the possible effects of the operation I requested be performed. Yes, some artificial devices show the early signs of social responsibility, displaying their internal states for others to see, sometimes assessing the impacts of their own actions and warning others of them. (Donald Norman (1992) Turn Signals Are the Facial Expressions of Automobiles., pp.132-3)

参考までに,引用部分の前には,PCでファイル移動の操作を行ったときに表示される,「移動先に同名のファイルが存在しますが,置き換えますか」という趣旨のメッセージが挙がっている。
 さて,下線部の解釈を問題にしたい。特に,requested beという動詞の連続に注目してほしい。こうしたものを正確に理解するためには,文法知識を正確に運用することがきわめて重要となる。the operation I requestedというつながりを見ると,I requestedが関係節ではないか,と考える人が多いだろう。そして実際,それは正しい解釈への第一歩でもある。しかし同時に,誤読の入り口でもあるといえる。というのは,いったんこの解釈を考えてしまうと,be以下もあわせて1つの関係節をなす,という正しい解釈にたどりつきにくくなる可能性があるからだ。
 beという原形が出てくる環境は限られるから,どのような環境でこれが許容されるかをしっかり考えることがカギになる。そのとき,requestとの関連が思いつけば,これがいわゆる「仮定法現在」なのではないか,と考えられるだろう。ここまでくれば,be performedがもともとはrequestが導くthat節の一部だろう,と考えを進めていくことができる。
 つまり,下線部はthe possible effects of the operation [which I requested (that) it be performed]という関係節(この用語を出して何の意味があるかぼくはきわめて疑問で,自分では使わないが,一部の説明で「連鎖関係代名詞」などと呼んでいるもの。ついでに言うが,こういう用語をやたらに振り回しつつ,上の下線部が理解できないなら,まったく無意味である)になっているわけだ。
 なお,下線部を訳すと,「実行するよう要求した操作がどのような結果になりえるか」となるだろう。possible effectsという名詞中心表現は,この場合間接疑問に展開するとわかりやすい。
17:43:20 - yhatanaka - No comments - TrackBacks