院試塾ブログ
インターネット大学院予備校代表・畑中泰道のブログ

26 October

「すごい」日本語

 街中で「すごい」日本語を見かけることがある。書いた本人はまじめなのだろうが,少し考えてみると何とも「すごい」のである。
 なかでも印象に残っているのが,大阪・梅田の地下街「ホワイティうめだ」で数年前に見かけた広告。パソコン・スクールの広告に「素人専門」と書いてある。「初心者専門」なら何の違和感も感じないのだが,「素人専門」では何だか風俗店のようではないか。
 続いては茨城県土浦市内で見かけたもの。「時間貸駐車場/最大料金あり」と。「最大料金」というのはたぶん「1日の料金の上限」のことで,たとえば1日当たり1000円を越えて課金しない,という意味なのだろうが,「最大料金」をとられるのかと思うと何だか不安に感じるのはぼくだけだろうか。
 もう1つ,ちょっとした間違いを。やはり土浦で見たもの。JRバスの方向幕に「直通イオンSC」とある。途中ノンストップということだから,「直通」ではなく「直行」が正しい。こういうことは誰かが途中で気がつかないものだろうか。
 もっとも,こういうことは昔からあるらしい。内田百間が「ただ今食堂車はよく空いております」の「よく」について,「頻繁に」の意味ならわかるが…,といったことを書いている。
 こうやってコトバは変化していくのだろう。
17:55:02 - yhatanaka - 2 comments - TrackBacks

『みんなで国語辞典―これも,日本語』

 大修館書店から『みんなで国語辞典―これも,日本語』という本が出ている。『明鏡国語辞典』との関連で作られたもので,投稿を募って編集してある。本の形で出ている以外に,CASIOの高校生用電子辞書にも収録されている。これがなかなかおもしろい。
 たとえば「イケメン」の項には,編集委員会のつけた補注がついていて,「『メン』の解釈については『イケてるメンズ』が有力だが,『イケてる面』とする説もある」とある。使われはじめて10年くらいの語ではないかと思うが,もうすでに語源がわからなくなりつつあるというのが興味深い。同じことは自転車の二人乗りを意味する「荷けつ」にも言えて,補注に「『ふたつの尻=二けつ』が語源とも」とある。
 これまでざっと読んだ中での最高傑作は「お持ち帰り」だ。これは以下のようになっている。

  1. ファーストフードや惣菜(そうざい)を店内で食べず,持ち帰ること。
    「こちらでお召し上がりですか?それともお持ち帰りですか?」
    (大阪府・35歳・女)

  2. 狙った異性を口説き落として,自宅または宿泊施設に連れ込むこと。およびその後の行為。
    「初対面なのにお持ち帰りされちゃった〜」
    (大阪府・35歳・女)


言うまでもなく,1.が本来の意味である。2.の語義が何とも秀逸で,本当に素人の投稿かと思ってしまうほどだ。「およびその後の行為」というのが効いている。こういう文体は辞書の語義説明に特徴的なものではないだろうか。持ち帰ったものは食べなければならない,という意味でも,ここまでを語義に含めたのは,(大阪府・35歳・女)の言語感覚の鋭さがうかがえる。
17:46:40 - yhatanaka - No comments - TrackBacks