院試塾ブログ
インターネット大学院予備校代表・畑中泰道のブログ

29 November

比較構文の「正体」(続)

 昨日の記事の内容を,さらに同等比較構文に当てはめて考えてみることにしたい。
 He has as many books as I.のような文は,一見簡単なようでいて,実はうまく組み立てられない人が多い。しかし,この文も以下のように考えればすんなり理解できるはずだ。

x=yの場合,接続詞はthanではなくasになる。そして,xを副詞のasに置き換え,[y many]を削除する。後半の節のbooksが削除されるのは,冗長だからだと考えることもできるし,how many booksが1つのかたまりとしてとらえられるのと同じ理由からだと考えることもできるだろう。haveは復元可能なので,省略することもできる。もちろんこれを残して,He has as many books I have.としてもよい。
07:55:25 - yhatanaka - No comments - TrackBacks

06 May

cureとtreatment―類義語の区別

 cure / treatmentという類義語の区別については,以前院試塾サイトのコラムでとりあげたことがある。今回,この2つの違いがよりはっきり表れている文に出会ったので,紹介しておきたい。

Schizophrenia is a fairly common illness, and drug treatment, although not a cure, has been of great benefit to millions of patients worldwide. (Leslie Iversen (2001) Drugs: A Very Short Introduction. p.60)

 コラムの記事にも書いたが,treatmentは特定の治療行為を,cureは病気などが完全に治癒することを指す。ここでも,treatmentではあるがcureではない,とあるから,薬を服用することで症状は改善するが,完治するとは言えない,という意味を表していることがわかる。これを「薬物治療は,治療ではないが,…」としてもまったく意味不明である。これに気づいて辞書を引くことが,読解力の増強に大きく役立つ。
16:22:15 - yhatanaka - No comments - TrackBacks

20 March

比喩の名手Carl Sagan

 「比喩の力―Cosmic Calendar」でとりあげたCarl Saganは,科学的知見を一般に広めるうえできわめて大きな貢献をした科学者だと思う。http://www.carlsagan.comのトップページにも,Our mission is to awaken the broadest possible public to the wonders of nature as revealed by science.とあり,セーガンの生涯のmissionを引き継いでいることがうかがえる。「核の冬」や生命の始まりを示す実験などでも知られているSaganだが,TVシリーズCosmos(1980年に同名の書籍も出版されている)など,天文学・宇宙論ばかりではなく生命科学や文明論にまで及ぶ広大な領域の知見を一般に広めるうえで大きな役割を果たした。
 こうした科学者(Saganとともにぼくの頭に浮かぶのはOliver Sacksだ)が書く英語の特徴の1つがpoetry(詩情)である。比喩を巧みに使いながら,読者を科学の世界に引き込んでいく。SaganのCosmosから,これがよくわかる一節を引いて検討したい。

Using only the most abundant gases that were present on the early Earth and almost any energy source that breaks chemical bonds, we can produce the essential building blocks of life. But in our vessel are only the notes of the music of life―not the music itself. The molecular building blocks must be put together in the correst sequence. Life is certainly more than the amino acids that make up its proteins and the nucleotides that make up its nucleic acids. (pp. 27-8. emphasis added)

生命誕生の過程を説明する一節で,バラバラの音では意味をなさないが一定の順序で並べて旋律を構成すると音楽になる,という比喩が用いられている。
 まず,the notes of the music of lifeと,直前のthe essential building blocks of lifeの関係に注目しよう。生命を構成する基本単位を個々の音になぞらえている。しかし,引用部最後の文にあるように,基本単位であるアミノ酸やヌクレオチドは生命そのものではない。個々の音だけでは音楽にならないのと同じである。強調部分の次の文で説明されているように,基本単位は正しい配列になる必要があるのだ。
 こうした点を読みとることこそ,英文を本当の意味で理解することだ。
 もう1つ,同じCosmosから,宇宙の科学的探究について触れている部分を見てみよう。

The surface of the Earth is the shore of the cosmic ocean. From it we have learned most of what we know. Recently, we have waded a little out to sea, enough to dampen our toes or, at most, wet our ankles. The water seems inviting. The ocean calls. Some part of our being knows this is from where we came. We long to return. These aspirations are not, I think, irreverent, although they may trouble whatever gods may be. (p.2)

宇宙を広大な海にたとえ,Voyagerなどの宇宙探査でその探索にこぎ出そうとしている人類の姿を,海に向かって歩き出して足を濡らしているという比喩で表現している。また,宇宙が生命のふるさとであるという考えにもとづいて,宇宙を探索することは回帰の気持ちによるのだと書いている。探究心のすばらしさを説くとともに,宇宙探査がまだ始まったばかりであることを示している。きわめて美しく示唆に富む一節だと思う。
08:13:44 - yhatanaka - No comments - TrackBacks

18 March

Is [that / *it] a Nikon?

 木村拓哉が出演しているニコンの一眼レフデジタルカメラのCMに出てくるセリフである。字幕は「それ,ニコンかい?」となっている。和文英訳するとIs it a Nikon?としてしまいがちだが,相手の持っているものを初めて指すのだからthatでなければならない。実はけっこう間違えやすいポイントなので,あまり意識しなかったという人はこの機会に覚えておくとよいだろう。
 また,a Nikonの不定冠詞にも注目しておこう。製品や作品を著す場合には固有名詞にa(n)をつける。It's a Sony.もそうだ。
 ついでに言うと,相手から聞いた話に対して「それはおもしろそうだね」と言うが,これを英語にする際に意外に間違いが多い。That sounds interesting.という。やはり相手の言ったことを指すからitではなくthatを使うのである。また,「〜そうだ」をseemとするのもよくない。聞いて判断しているのだからsoundを使うのが適切である。なお,That sounds funny.とすると通常「それはおかしい[≒変だ]」という意味になる。
10:06:03 - yhatanaka - No comments - TrackBacks

13 March

ご無沙汰です

 前に記事を書いてからずいぶん時間がたってしまった…。確定申告と請負の仕事(とある大学の電子シラバス作成)で大変忙しく,書く時間がないというのもあるけど,とにかくネタが不足していた,というのが実情だった。
 復帰第一作,というわけではないけれど,また少しずつ書いていきたいと思う。乞う,ご期待。
16:59:37 - yhatanaka - No comments - TrackBacks