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インターネット大学院予備校代表・畑中泰道のブログ

研究計画書の基本—「研究」の「計画」を書く

 院試塾の「研究計画書作成指導」でも常々言っていることで,このブログや「院試塾の現場から」ブログにも書いたが,研究計画書とは「研究」の「計画」を書くものだ。すべての基礎はここにある。これを図解で確認するとこうなる。

「研究」は主にテーマの説明で,「何を」研究するかを述べる。「計画」は研究の方法を述べるもので,「どのように」研究するかを説明する。きわめてシンプルではあるが,この点をしっかり確認したうえで作成を開始しなければ,焦点のずれた計画書になってしまう場合が多い。
 さらに「研究」と「計画」のそれぞれについて考えていこう。「研究」は主に研究テーマそのものについての説明となる。以下の図解のように,大きく3つの要素で考えるのがよいのではないだろうか。

まずはテーマの概略を説明する。テーマを構成するキーワードを中心に述べていくとよい。
 テーマの選定理由も説明する必要がある。これは「研究の意義」と言い換えてもよく,大きく3つの要素からなる。第1は,学問研究としてどのような意味を持つかである。学問の世界では,何らかの形で「新しい」ものしか意味を持たない。これを「新規性」と呼ぶ。自分の研究テーマが,学問的にどのような意味を持つか,すなわち学問にこれまでにないどんなものを新たに加えるのかを述べる必要がある。当然,これが言える段階まで検討作業を進めておかなければならない。
 研究の意義の2番目は社会的な意義である。自分が着手しようとしている研究にはどのような応用可能性があるのかを考える。純粋理論研究を行う場合でも,たとえばその研究が社会にどのような影響を与えるのかは考えておいたほうがよい。
 第3の要素は自分にとっての意義だ。研究テーマが自分のなかでどんな意味を持つのか,たとえば,長年感じてきた疑問を解決する,今直面している問題点を解消する,将来に役立てる,などについて考えていけばよい。
 「何を」については研究対象の具体的な説明も必要となる。対象を示すキーワードはすでに研究テーマにも含まれているだろうが,そのキーワードはあいまいにならずにきちんと対象を限定できているだろうか。対象の具体的な限定まではテーマには含まれていない場合が多いだろう。この点をきちんと説明しておかなければならない。
 「計画」,つまり「どのように」の説明には大きく2つの要素があると考えている。

1つは研究の具体的方法である。この点が煮詰まっていない研究計画書が実に多いのが現状だ。研究はどんな理論的枠組みで行うのか,対象についての調査・分析はどのような観点から,どんな方法論を用いて行うのか,研究完了までの具体的な道筋についてどのような見通しを持っているのか,などを述べる必要がある。
 もう1つの要素は先行研究だ。まず,自分の研究を具体的に位置づけるために,類似テーマを扱った研究に言及しながら,自分の研究がそれらとどのような関係にあるのかを自分なりに分析する必要がある。また,研究の方法論について参考となる研究,その方法論の原点となる研究や,具体的な方法を利用する研究を紹介する。また,修正や批判の対象となる研究についても言及する必要があるだろう。
 もちろん,ここに挙げたものがすべてではないが,これらをまずはきちんと考えたうえで,十分整理して述べなければならない。
 1つ注目してほしいのは,「背景」に関する記述をあえて含めていない点だ。背景についてまったくふれてはいけない,ということではない。しかし,背景の記述はあくまで添え物にすぎないのであって,「研究」「計画」の中心とはなりえない。背景から記述を始め,大半が背景記述に終始している原稿を目にすることはきわめて多い。背景の位置づけについて,「研究」の「計画」を述べるのが「研究計画書」である,という認識から十分に考えてほしいものだ。

posted at 21:17:55 on 10/26/05 by yhatanaka - Category: 大学院入試

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