院試塾ブログ
インターネット大学院予備校代表・畑中泰道のブログ

学問と「課題設定能力」

 学問は基本的に「自分でする」ものだ。まず,学問をする動機は自発的なものであるべきだ。自発的に求めてはじめて,学問が本当の意味で自分のものになる。資格をとろうとする場合でも基本的には変わらない。「資格に見合う自分」にならなければ,資格は生きてこない。単に資格があるというだけでは,幸せにもなれないし,仕事の充実感も得られないだろう。
 学問を自分でやる,という意味について,以下の引用を見てほしい。

高校までは,学問といえば,受験で出るような問題を塾や学校の先生に指導されて解くことだった。きみたちは、先生の指導どおり勉強することが学問だと考えているだろう。学問なんて一生するものだ。そして卒業したら,先生に聞かなくても,一人でできるようにならなくてはいけない。大学の四年間はだんだん自立していって,つまり教師離れしていって,一人で学問ができるようになる過程だと心得てほしい。
中山茂(2003)『大学生になるきみへ—知的空間入門』岩波ジュニア新書

ここには大切なことが2つ書いてある。1つは,大学の4年間で「一人で学問ができる」ようになっているべきである,ということ。もう1つは「学問なんて一生するもの」であるということだ。
 実際のところはどうだろうか。大学院を受けようとしている人でも,「一人で学問ができるように」なっているはずの人は実に少ないように思える。「『研究』計画書」を書いているはずなのに,大学院でも何でも人から教わろうとしているのか,「『お勉強』計画書」を平気で書く人がいる。院試塾の指導を受けていても「教わってなんぼ」的な発想をしていると見受けられる人がいる。個々の知識だけではない。志望校選びや勉強法にいたるまで,何でも「聞けるものは聞いてしまえ」ということだろうか。少なくとも,テーマ探しぐらいは自分でやらないといけない。院試塾の指導でもこの点を指摘するが,そこから変わっていける人とそうでない人がいる。この時点ですでに勝負はついている,といっても過言ではない。事実,最終的に合格するのは圧倒的に「変わっていける」人たちだ。
 自分で適切な課題を設定できる能力は特に重要だ。少し長くなるが,以下の引用を見てほしい。

 受験産業が発達しているいまは,学校別に過去の試験問題を徹底的に分析して傾向を割り出すことがふつうに行われています。すると,目標にしている大学の受験に必要とされる解法パターンに絞って覚える丸暗記タイプでも,合格は可能でしょう。事実,このようにしてかなりの難関大学に合格している人も,世の中にたくさんいます。たしかにこと受験勉強に限れば,いちばんムダの少ない効率的な勉強方法だと言えるかもしれません。
 私自身の印象でも,東大に入ってくる学生の少なくとも三割くらいは,こうした丸暗記によって,受験を突破してきたように見えます。そうした丸暗記タイプは自分の知っている問題に対しては,たいへん解答スピードが速いのが特徴です。
 しかし残念ながら,大学に入ってからは,こうした人は非常に苦労することになります。なぜなら大学では,暗記だけではクリアできない「自分で考えを構築していかなければいけない」「何が課題なのか自ら見つけなければいけない」「見つけた課題を自分なりに解決する方法を講じなければいけない」などといったことが求められるからです。記憶力とマッチング能力だけでやってきた人には,これができないので,とたんに何もできなくなるということが起こります。
畑山洋太郎(2005)『畑村式「わかる」技術』講談社現代新書

畑村さんはこのようにして,「課題設定能力」が重要だと説いている。この能力が大学院でさらに求められることは間違いない。というよりもむしろ,大学ではこの能力を十分に養成するような教育がもはやできにくくなっている,というのが実情ではないだろうか。
 研究計画書を書く,というのは,まさにこの「課題設定能力」が試されていると言ってよい。「何が課題なのか自ら見つけ」,「自分なりに解決する方法」を考え,「自分で考えを構築」することが求められているのだ。これがある程度できなければ,大学院で研究を進めていくことはできないし,仮に修了できたとしても,大学院修了にふさわしい自分にはなってはいないだろう。周囲の期待と自分の実力とのギャップにかえって苦しむことになってしまうかもしれない。
 英語学習においても,実はこの「課題設定能力」が重要となる。目の前にある英文を読むために自分に欠けているものを知識・情報を見きわめ,その欠けているものを補うためにどんなことを調べるべきかを知り,自分で辞書や文法書を使って問題を解決し,自分なりに考えを構築しながら読み進めることが大切なのだ。調べるべきことをすべて提示する教育は,一見効率がよくムダの内容に見えるかもしれないが,実はこうした機会を奪っているのがたいへんな問題である。
 しかし一方で,「では教育を受ける意味は何なのか」という疑問が生じるだろう。哲学で言う「産婆術」のようなものであるべきだと,ぼくは考えている。院試塾が目指しているのもまさにそういう教育だ。答案や原稿を介した「対話」を通じて,受講生が「課題設定能力」を自ら育み,発揮できるように道を示していくのがぼくの役割だ。研究計画書を書くのであれば,徹底して考えることをうながし,具体的な記述を求めていく。英語学習では,受講生が「知っている」「わかっている」と錯覚している点を徹底して突き,反省をうながし,調べて自分なりの答えに到達する訓練を施す。合格者のコメントで「厳しい」と書いてもらえるのは,こうした教育理念が功を奏しているからだと自負している。
 学問は一人でするものだ。しかし,対話によって学ぶところもまた大きい。課題の解決に向かって限界まで努力した人には,他者の「ちょっとした一言」がたいへん大きな意味を持つ。その「ちょっとした一言」をくれる人が周りにたくさんいるのが大学院であり,院試塾もそこにいるに値する人々を作り出すことを使命としている。

posted at 20:27:20 on 10/30/05 by yhatanaka - Category: 教育・学問

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コメント

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