院試塾ブログ
インターネット大学院予備校代表・畑中泰道のブログ

辞書を「越える」—語の意味と文脈

 resourceには動詞の意味・用法がある。『ジーニアス英和大辞典』には「<組織>に〔資金・設備などを〕供給する」とある。『リーダーズ英和辞典』や『ランダムハウス英和大辞典』には載っていないようだ。Oxford Dictionary of Englishを見ると,provide with resourcesという語義があり,a strategy which ensures that primary health care workers are adequately resourcedという用例が挙がっている。Shogakukan Corpus NetworkWordbanks Onlineで動詞のresourceを検索すると76例がヒットするが,例文をざっと見ると名詞のものが相当混入していて,最初の34例中動詞の例は3例のみである。これらはいずれも『ジーニアス英和大辞典』の語義に一致する。
 しかし,こうした辞書の解説が当てはまらない用例に出会った。All Jesuits resource the Exercises for regular retreats; it is the roadmap for their spiritual formation. But many others use it, too. (Tom Beaudoin (2003) Consuming Faith: Integrating Who We Are with What We Buy. p.46)というものだ。このresourceは「情報源として利用する」と解釈できそうで,上で検討した用法とはまったく異なるものである。これまでのところ,辞書でこの用法を収録したものは確認できていない。
 なぜぼくが上記引用のresourceを「情報源として利用する」という意味だと考えるのか。後続の文,many others use it, tooがその根拠だ。[A]All Jesuits [B]resource [C]the Exercisesと[A']many others [B']use [C]it(=the Exercises)という2つの文がtooでつながっており,それぞれの部分が対応している。この対応関係から考えると,このresourceは少なくとも「使う」という意味であるということになる。
 言葉は常に変化していて,新しい語が出てくるのはもちろん,すでに存在する語も新しい意味で用いられるようになる。辞書は常に古くなっていく。だからこそ辞書は改訂されるし,それゆえ古い辞書をいつまでも使い続けることはできない。時として,今回のように,辞書にはない用法に出会うこともある。しかし,語のもとの意味と文脈とを十分に考え合わせれば意味がわかることもある。今回とりあげたのがその例だ。この読み方は未知の単語の意味を推測するのにも応用できる。

posted at 23:19:55 on 01/16/06 by yhatanaka - Category: 英語

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