院試塾ブログ
インターネット大学院予備校代表・畑中泰道のブログ

「主食」の考えかた―東西の違い

 たまに本式の(と言っても,しれたものだが)西洋料理を食べると,「主食」とはいったい何だろうか,と思う。日本ではコメが主食で,西洋ではコムギやライムギで作ったパンが主食だ,というなら話は単純だが,いろいろ考えはじめると,そう単純にはすまなくなる。
 一時期よく行っていたドイツ料理店(ドイツ人きょうだいが経営)での話。この店の「掟」の1つが,「パンは食べなくてもジャガイモは食べる」というものである。この店の料理にはジャガイモの付いているものといないものがあって,付いているものに加えてパンを頼むのはOKだが,付いていないものにはパンではなくジャガイモを頼むよう,強く勧められるのだ(実際にはほとんど強制!)。追加で頼むこのジャガイモ(揚げ焼き風とでもいえばよいだろうか)は1皿でそれなりのボリュームがある。これに対してパンのほうは,ライムギの薄いもので,日本人の「主食」観からすると,何とも頼りない。ドイツの主食の代表格はジャガイモだとも言えるわけである。
 フランスではコメを付け合わせにする。フランス語を学ぶと,コメ(riz)は野菜(legume※アクサン省略)の1種だと教わる。日本人には奇異にも思えるのだが,たとえば「ビーフストロガノフ・バターライス添え」(正式なフランス料理なのだろうか…)を注文すると,(店による違いもあるかもしれないが)バターライスはまるで付け合わせのマッシュポテトかコーンのようにして添えられている。これを実際に目にすると,コメが野菜に分類されるというのも納得できる。日本ではこれをメインにして,ライスかパンが付いてきたりする。この時のライスは「主食」である。
 中国料理ではコメもコムギ(麺や点心)も食べるが,例えばギョウザをおかずにしてご飯(コメ)を食べる習慣はない,と聞いたことがある。ギョウザの皮はたしかにコムギで作るわけだが,日本人の目から見ると,主食としては何とも心許ない。中華まんじゅうの皮はこれに比べればずいぶんと満足感があるものの,われわれからするとまんじゅうはどちらかと言うとおやつである。
 これらと比べると,日本の食文化はとにもかくにも主食中心主義であり,コメのご飯を食べるためにおかずが存在する。「炭水化物絶対主義」と言ってもよいほどだ。とりあえずご飯に味噌汁と漬け物があれば,「食事」が成立する。「メインディッシュ」がタンパク質である西洋とは好対照をなす。ある行為に使う「ネタ」のことを「オカズ」と言ったりするが,これも「主食」にあたるもののほうが絶対的存在であることを強く示唆する表現だと言えるだろう。

posted at 21:37:34 on 04/05/12 by yhatanaka - Category: 雑感

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