院試塾ブログ
インターネット大学院予備校代表・畑中泰道のブログ

笠島準一『英語辞典を使いこなす』講談社学術文庫

 この本の底本である『英語の辞書を使いこなす』(講談社現代新書)は1986年に出版され,高校生の頃に読んだ。もう一度読みたいと思っていたが,どこかに紛れてしまっていた。今回偶然書店で見つけることができ,読み返してみたのだが,きわめて有益な本であるとあらためて感じた。
 「英語に関する疑問の90%は辞典の中に答えがある」という基本的な主張を,まずはしっかり受け止めておきたい。院試塾の指導でもつねづね受講生に言っていることだが,辞書をきちんと引くことは語学学習の基本であり,それを怠ってはならない。しかし,多くの人の辞書に対する考え方は,おそらく以下の引用に集約されるのではなかろうか。

 辞書なんてアクビが出る。ABC順に並んでいるからたどっていけば引けるし,また最初か次の訳をもらって原文にあてがっていけばそれでおしまい。辞書を使いこなすって?—そんなことできるわけないさ。
 いやいや,そんなことはない。あなたの机の上でホコリをかぶっている辞書,最初の訳がみつかったら閉じられてしまう辞書,そんな辞書を使いこなし,英語力をアップさせ,英語文化も知るコツがある。(p. 3)

 本当にこのとおりである。特に,「最初の訳がみつかったら閉じられてしまう辞書」というのが多くの人の辞書の使い方をうまく言い当てている。実際に辞書を引くところを予備校の授業などで見ていても,閉じなくてもよさそうなものなのになぜかすぐに閉じる。一刻も早く,辞書を引くという「作業」から解放されたい,ということなのだろうか。
 辞書は意味を調べるだけのものではない。その言葉に関する情報の宝庫である。この本でとりあげられているのは英和・和英・英英という,英語学習にとって基本的な辞典類で,この本の説明に従って徹底活用したならば,英語力が大きく向上することは間違いないと言ってよいだろう。
 特に有益なのが,英和辞典について「詰まった情報を徹底的に活用する」ことを提唱している部分だ。とりわけ,「用例から適訳をみつける」方法の記述(pp. 102-3)は,少し難しいがぜひ読んでみてほしい。用例を詳細に検討し,その訳語から意味をつかんで応用すれば,英文の意味がずっと明確にわかるようになる。
 もちろん,この本は読んで納得するだけではダメだ。ここに書いてある方法を1つでも多く実践することが,語学力向上のカギとなる。英語がきちんと読み書きできるようになりたい人の必読書と言えるだろう。

posted at 16:14:35 on 12/07/04 by yhatanaka - Category: 読書録

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