院試塾ブログ
インターネット大学院予備校代表・畑中泰道のブログ

語を概念で理解する—pathの場合

 言葉の背景には必ず概念がある。特に外国語を扱うとき,このことを忘れてはならない。
 英語のpathという語を考えてみよう。辞書を見ると「小道」が基本的意味だという印象を受ける。ここから抽象的な「経路」といった意味が派生しているわけだが,概念を介在させないと,正確に理解するのはなかなか難しい。たとえば,A child ran into the path of a car.という文をどのように解釈するだろうか。the path of a carを「車の通り道」「車の進路」としても,いまひとつピンとこないのではないか。しかし,下の図のように考えれば「子どもが車の前に飛び出した」とすっきり理解することができる。

 pathと前置詞との連語関係についても,概念図を考えればわかりやすくなる。たとえば,「成功の方法」をpathを使って表現するとしよう。『新編英和活用大辞典』には,the path of successという例が挙がっている。一方でthe path to freedomというのもある。後者にならってthe path to successとは言えないのだろうか。『新編英和活用大辞典』の電子辞書版で,path&successで例文検索をしてみると5件のヒットがあり,上で紹介した例以外はpath to successとなっている。Oxford Collocations Dictionaryで同じように例文検索をかけると,His feet were now firmly on the path to success.というのが見つかる。こういう問題を多数決で解決するわけにはいかないだろうが,どうやらpath to successのほうが一般的なのではなかろうか。
 path of/to successの両方が可能だとして,両者の間に違いはあるのだろうか。決定的な答えを用意しているわけではないが,以下の図で表せるような違いがあるのではないか。

前置詞ofの中心的意味を定義することは難しいが,私見では「=」関係が基本ではないかと考えている。仮にそうだとすると,path of successはpath全体がそのままsuccessである,つまり成功しながらたどっていく道筋,という意味になる。もう少し具体的に言うなら,成功しながら進んでいくこと,とすればよいだろうか。これに対してpath to successは,toの基本的意味が「着点」だから,「成功という結果に至る道筋」と考えればよい。
 ここから先は少し思弁的になるが,お許しいただきたい。本を読んでいてpath of recoveryという表現に出会った(この記事のを書くきっかけとなったものだ)。これをpath of successと同様にとらえるなら,だんだんと治っていくこと,ととらえることができるだろう。一方,Webを検索してみると,どうやらpath to recoveryのほうが一般的なのではないかと思える。後者の場合には,最終的な結果がrecoveryであるととらえていると考えられる。つまり,recoveryに対する違った見方が,この前置詞の選択の差の根底にあるとは言えないだろうか。recoveryをprocessととらえるか,それともgoalととらえるか,という違いだ。実際,本に出てきた表現をもう少し広くとるとa 12-Step spiritual path of recoveryとなっており,段階的に治っていく,という意味が読み取れる。
 このような概念の図示が,すべての場合に可能なわけではない。しかし,ここで紹介した考え方を可能な限りしていくことで,外国語の理解がずいぶん深まることは間違いないだろう。一度試してみてほしい。

posted at 22:24:55 on 05/01/05 by yhatanaka - Category: 英語

コメントを追加

:

:

コメント

2pay.pro wrote:

从舒从 仗
05/11/17 06:06:13

wrote:

05/16/17 04:28:01

トラックバック

TrackBack URL